「書は人なり」再考

「書は人なり」再考

「書は人なり」という言葉がある。書作品には,作者の性格がにじみ出ている,というものだ。

そんなこともなかろう,とも思うのだが,他の人の作品を見ると,果たしてその通りである。きっちりした性格の人はきっちりした字を書くし,ほんわかした性格の人はほんわかした字を書く。同じものを臨書しても違いが出る。

ただ,そのメカニズムは,筆が体の一部となって全人格が筆管を通じて流れ出る,なんて高尚なものではなく,きっちりした性格の人はきっちりした字が好きだからきっちりした字を書こうとするし,ほんわかした人はほんわかした字が好きだからほんわかした字を書こうとする,という単純なものに過ぎない。要は,ラーメンが好きな人はラーメンをよく食べる,というのと同じなわけだ。

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